表面科学
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光触媒式空気清浄器
鈴木 賢一郎
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1995 年 16 巻 3 号 p. 206-208

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抄録

人体に安全で,長寿命かつ悪臭物質を分解して除去する空気浄化方法を得るため,光触媒がもつ強力な酸化力・還元力に着目して研究を進めた。本報告ではまず,光触媒成分である酸化チタン粉末をハニカム状担体に担持した光触媒について,悪臭物質に対する室温下での浄化特性を述べる。悪臭物質に対する光触媒反応は完全酸化型の分解であることを見出した。長期使用により活性低下した光触媒は清浄空気下で光を照射することにより浄化能が初期の性能に回復し,自己再生能を有した。つぎに,光触媒を用いた車載用空気清浄器の実用化の検討過程について述べる。試作した空気清浄器の性能を把握するため,車室内の多種悪臭物質に対する浄化能を調べた。空気清浄器を2時間稼働すれば,“新車臭”はほぼ50%まで低減できた。また,実際に使用している車25台に空気清浄器を搭載し,3ヵ月間にわたる官能評価によるモニターテストを実施した結果,モニターの70%以上が悪臭浄化効果を認めた。なお,光触媒を用いた空気清浄器は自動車室内のみならず各種環境下の空気浄化にも効果があったので,現在,用途に合った各種空気清浄器の検討を行っている。

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