表面科学
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高融点金属/Si界面での固相非晶質化反応
小川 真一
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1995 年 16 巻 4 号 p. 238-243

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抄録

高融点金属とSi半導体との界面では固相非晶質化反応が室温程度の低温で起こる。非晶質化反応は, 高融点金属とSiが界面近傍で相互拡散し核形成する際非晶質化するための活性化エネルギーのほうが結晶化するよりも低いために起こる。TiおよびCoは近年のULSI製造プロセスでの電極形成に使用されている代表的な高融点金属材料であり, 本解説ではTiおよびCoのシリサイド形成反応に関し, 主に断面TEM観察により解析したシリサイド/Si界面での固相非晶質化現象を述べ, これらの反応, 構造がどのようにコンタクト, 接合特性と関連しているかを述べる。TiとSi基板界面には室温でも非晶質Ti-Si相互拡散層が形成され, 熱処理によりその厚さは増加する。非晶質相互拡散層のSi基板界面極近傍での組成比はTiSi2であり, 460℃程度の熱処理により非晶質相互拡散層とSi基板との界面から非晶質Ti-Si相互拡散層の結晶化が始まり, c49構造TiSi2となる。ショットキーバリアハイトは界面の結晶性に依存しp型Siの場合, 結晶化とともに低下する。Co/Ti/ (100) Si基板構造を熱処理し固相反応によりCoSi2を形成する場合には, 堆積直後にCoとSiの間に非晶質Co-Ti-Si相互拡散層が形成され, 熱処理中, この非晶質層はCo, Siの拡散速度制御層として作用し, Co2Si, CoSi相を経ずに直接CoSi2を形成することができ, この場合CoSi2はエピタキシャル膜となる。

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