有機金属気相熱分解成長(MOVPE)で,微傾斜基板上に形成される単分子ステップに吸着原子が取り込まれて成長が進行する“ステップフロー・モード”を用いると,断面から見て横方向に周期的に並んだ縦型超格子構造を成長することができる。さらにこれをヘテロ接合ではさみ込むことによって高密度の量子細線構造を作製することができる。ここでは,このようなステップフローを支配しているMOVPE成長の表面拡散過程および成長中のテラスの表面化学構造について,走査型トンネル顕微鏡(STM)観察および表面光吸収法(SPA)によるその場観察結果をもとにGaAsについて考察する。さらに均一な量子細線幅を得るための工夫とそれを用いた電流注入による量子細線レーザーの実現について述べる。