表面科学
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塩素吸着Si(111)7×7でのSTMによる原子サイズの表面構造形成
馬場 雅和松井 真二
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1995 年 16 巻 5 号 p. 306-311

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抄録

 微細加工技術が究極の原子サイズへと突入した。原子を観察する走査型トンネル顕微鏡 (STM) がさらに原子1個1個の構造形成技術を提供したのである。超高真空STM中でSi(111)7×7表面に塩素原子の吸着構造を形成する。STM観察では塩素原子はシリコンのアドアトムに吸着しダングリングボンドと結合し, 低バイアス電圧で暗部として観察される。つぎに, この吸着塩素にSTMの探針を近づけ数Vのパルス電圧を印加する。塩素原子直上で印加すると電界蒸発が生じ4~6V電圧で脱離した塩素が再吸着し, 6V以上で脱離のみが生じる。また, 電圧印加位置を少しずらすことにより電界蒸発と電界勾配効果が同時に生じ, 基板のシリコン原子の新しい表面構造を形成できることがわかった。

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© 社団法人 日本表面科学会
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