表面科学
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金属表面の触媒作用はどこまでわかるようになったか
田中 虔一
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1995 年 16 巻 1 号 p. 37-44

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抄録

20世紀の物質文明は触媒を使って創り上げた物質文明であるともいえる。この化学工業に支えられた物質文明は,20世紀末になりエネルギー問題,公害問題食料問題など人類の生存を左右するような問題を新たに生じているが,これらの困難な問題を解決する鍵もまた触媒にある。このように社会に対しきわめて大きな影響力を与える固体表面の触媒作用も,その機能や機構は本質的な点でほとんどわかっていない。この数年間の表面研究の進歩はめざましく,ようやく表面で起きる現象をアトムスケールで議論できるところまできた。その結果,固体表面の特徴をアトムレベルで理解できるようになり,触媒作用にたいする考え方も大きく変わり始めた。ここでは炭化水素合成反応の一つであるメタン生成反応とNOx除去の3元触媒として知られるPt-Rh合金触媒を例に,触媒作用がどこまでわかるようになってきたかを解説する。

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© 社団法人 日本表面科学会
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