表面科学
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高精度RBS共鳴散乱法による薄膜の酸素分析
綿森 道夫尾浦 憲治郎
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1995 年 16 巻 6 号 p. 391-396

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抄録

RBS法において入射エネルギーを3.045MeV,散乱角を150~180°に設定すると,入射イオンであるヘリウムと標的中に存在する酸素原子が鋭い共鳴現象を起こして,散乱強度が増加する。この増加の割合は,散乱角に大きく依存し,10倍程度から30倍程度になる。このように増加した酸素信号を利用すれば,酸素信号の検出感度が従来のRBS法に比べて数倍から10倍程度となり,高感度な酸素分析ができることになる。そのうえ,通常のRBS法によって酸素を分析できる酸化膜はきわめて限られているのに対し,このRBS共鳴散乱では,ほとんどすべての酸化膜に対して酸素含有量の深さ分析が行える利点をもつ。ここでは,RBS共鳴散乱法の原理と特徴を示した後,応用例として透明電極に用いられるITO薄膜の深さ分析を行い,酸素の含有量がITO薄膜の電気特性に及ぼす影響について考察する。

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