表面科学
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高分解能レーザー分光法によるエッチング反応の研究
フッ素と銅表面の反応により生成するCuFの振動回転並進エネルギー分布
菅原 孝一
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1995 年 16 巻 9 号 p. 564-570

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抄録

波長分解能の高いレーザー分光法は,気相中の自由分子を状態選択的に検出できることから,分子の構造や気相化学反応の動力学の研究に広く用いられている。この手法は表面に束縛された分子の検出には適さないが,表面化学反応の最終過程である生成物の脱離過程を取り扱うには有力である。脱離直後の分子のエネルギー状態が観測できるため,分子と固体表面との間にどのような相互作用があるのか,あるいは脱離に際してどのような動力学が働くのか知ることができる。本稿では,この観点からはほとんど調べられていないエッチング反応における分子脱離を取り上げる。筆者らは高分解能レーザー分光法を用いてフッ素と銅表面との反応において脱離するCuF分子の状態選択的な検出を行った。反応出口の情報である脱離分子の振動回転並進エネルギー分布は,フッ素分子線の並進エネルギーや流量,フッ素源の違い,銅表面の温度,銅表面の種類など,反応入口の条件にどのように依存するのか,またその結果からどのような分子表面相互作用が考えられるのかについて述べる。

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© 社団法人 日本表面科学会
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