この15年,MOSLSIの急激な高集積化高密度化に伴い,要求されるゲート酸化膜厚は50nmから10nmに急速に薄層化してきた。この要求を満たすため,ゲート酸化膜の薄層化と高品質化を阻害する要因を解決してきた。まず,LSIの歩留りを支配する酸化膜欠陥対策として,CZ-Si結晶に起因した酸化膜欠陥,選択酸化工程に起因したゲート酸化膜欠陥を早期に見出すとともにプロセス上の工夫で解決した。また,LSIの信頼性を損なう汚染物質の低減については,早期から製造プロセスの清浄化を強力に推進してきた。各種の微量分析技術は,この清浄化の推進に常に重要な役割を果たした。つぎに,微細加工のために全体的に導入したプラズマプロセスの損傷を低減するためのさまざまな措置を講じた。この間,ゲート酸化膜の薄膜化限界を見極める試みや,薄い酸化膜の長期信頼性試験(5,000時間以上)を比較的早い時期に行い,物理と実用の両面から先駆的な貢献を果たした。