1995 年 16 巻 10 号 p. 617-623
10mm程度のサイズの半導体微結晶を他の半導体中に埋め込んだ構造は量子井戸箱あるいは量子ドットと呼ばれているが,現在この創製法を確立するための研究が盛んに行われている。これらの方法は,大別すると,紫外線あるいは電子線リソグラフィなどを用いた微細加工を利用する方法,および結晶成長を利用する自己形成的な方法とに分けられる。これらのうち,微細加工を利用する方法は,リソグラフィの際の加工損傷および空間分解能の点に関して解決すべき問題点が多い。 本報告においては,自己形成的に量子井戸箱を作製するためには,まず半導体のエピタキシャル微結晶を作製する必要があるとの観点から,GaAsのエピタキシャル微結晶を,通常の分子線エピタキシャル結晶成長装置(MBE)で作製するためにわれわれの研究している方法,液滴エピタキシイ法の研究成果を紹介する。