表面科学
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選択CVD法によるSi基板上へのナノ構造形成
坪内 和夫益 一哉横山 道央
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1995 年 16 巻 10 号 p. 644-650

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抄録

筆者らは,超LSIの微細配線金属形成技術への応用を目的にジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)を用いた選択Al CVD技術を開発してきた。本CVDの特徴は,Siなどの導電性基板表面にはAlが堆積し,SiO2Oなどの非導電性基板表面には堆積しない選択成長が可能なことである。また,特にSi上へは単結晶Alが堆積する。Si上への選択堆積に関して,「表面電気化学反応モデル」を提案し,実験的に検証してきた。表面に存在する自由電子の触媒的寄与により,単原子層終端水素とDMAHのメチル基が反応し,メタンとなって脱離し,Alが堆積する。堆積したAl表面は水素で終端され,終端水素とメチル基が反応・脱離し,Al堆積反応が持続するというモデルである。われわれは,このモデルをもとに,Si表面の単原子終端水素層を電子ビームでパターニングすると照射部分の水素は脱離し,Si表面は酸化し,Al堆積のマスクとなることを利用して,終端水素の残った部分のみにAlを堆積させる「アトミック水素レジストプロセス」を開発した。本稿では,選択Al CVD技術,選択成長メカニズム,さらにアトミックレジストプロセスによるAlパターニングについて紹介する。

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© 社団法人 日本表面科学会
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