ポリスチレン微粒子にフェニル基やビニル基と選択的に反応する含フッ素有機過酸化物を比較的温和な条件で反応させると,ポリスチレンのフェニル基にペルフルオロアルキル基あるいはペルフルオローオキサアルキル基が導入される。得られたフルオロアルキル化ポリスチレンをベンゾトリフルオリドに溶解させてガラス板上に流延した後,十分に乾燥したところ,疎炭化水素であるペルフルオロアルキル基あるいはペルフルオローオキサアルキル基が優先的に空気と接する表面にのみ配向し,優れたはっ水・はつ油性を示すポリスチレンフィルムが生成した。ポリスチレンのはっ水・はつ油性の向上は,エーテル結合を有する含フッ素有機過酸化物(過酸化ペルフルオロアルカノイルおよび過酸化ペルフルオローオキサアルカノイル)を用いるほど大となり,ある種のものは,ポリスチレンに対する重量比がわずか9%で,その臨界表面張力値を14.2mN/mまで低下させた。