表面科学
Online ISSN : 1881-4743
Print ISSN : 0388-5321
ISSN-L : 0388-5321
低エネルギー集束イオンビームによる薄膜形成
長町 信治上田 雅弘石川 順三
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 16 巻 12 号 p. 724-728

詳細
抄録

集束イオンビームの新しい利用法として,低エネルギー集束イオンビームによりイオンビーム蒸着を行う「集束イオンビーム直接蒸着法」を開発した。この方法は,原料ガスを用いることなく,また電流密度の大きなビームを用いるため高純度の成膜ができることが特長である。われわれは低エネルギーにおける集束特性に対して特に考慮を払った集束イオンビーム装置を設計製作した。この装置により30~200eVのエネルギーにおいて最小ビーム径0.5μm,ビーム電流密度20mA/cm2のAu+ビームなどが得られている。これらのビームを用いて付着確率,蒸着膜の純度,抵抗率,臨界温度などの測定を行った。その結果,予想どおりの高純度成膜が可能であること,金,銅においてバルクの1.5~1.6倍程度の抵抗率であること,ニオブにおいて超伝導薄膜が作成可能であることなどの結果が得られた。現在,この手法の特長を最大限生かした応用を開拓中である。

著者関連情報
© 社団法人 日本表面科学会
次の記事
feedback
Top