表面科学
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Si(001)基板上に成長したAl結晶の構造評価
上田 修清水 紀嘉北田 秀樹
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1996 年 17 巻 3 号 p. 134-140

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抄録

さまざまな基板条件の下で(001)Si基板上へのAlの成長過程を,超高真空走査トンネル顕微鏡および透過電子顕微鏡により評価した。基板温度が室温の場合,2×2構造の層状成長に引き続き,3次元核のほかにパッチ構造が形成される。また,成長様式は単純なS-K成長とは異なる。基板温度500℃でのAlの成長では,クラスタが形成され,そのクラスタが種々の特異な規則構造を形成する。また,Alはこれらのクラスタからなる層状成長の後3次元核成長に移行する。クラスタは高さ0.4nm程度で何らかのAl-Si合金と考えられ,特異な結晶構造を有している。また,これらのクラスタは,その後の室温でのAl成長においては,主構造がかなり損なわれ,結晶膜は全体としてAl(110)のダブルドメイン構造となる。一方,水素終端化si表面では,AlはS-Kの成長様式を示さず,成長初期からクラスタが相対的位置関係をもって形成される。また,Alは下地基板のステップの影響を受けて特徴的パターン成長をする。

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© 社団法人 日本表面科学会
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