原子間力顕微鏡における力変調法,試料の横振動によるカンチレバーの捩れ振動を用いた横振動モードAFM(LM-AFM),および探針と試料問に超音波振動力を作用させ,その結果誘起されるカンチレバーの曲げ振動を測定して,固い試料でも弾性率が計測でき,表面下の欠陥が検出できる超音波力顕微鏡(UFM)を紹介する。これらの方法は,材料のミクロな粘弾性の計測法として,従来の技術(粘弾性試験や超音波計測法)の空間分解能の限界である1μmの壁を破り,微小な素子や材料組織,細胞,分子などの力学的物性の多様な側面を浮き彫りにすることができる。そこで,通常の原子間力顕微鏡や摩擦力顕微鏡を補って,電子工学,機械工学,生命科学,トライボロジーなどの研究や機器/部材の品質管理などに役立つと期待される。