表面科学
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分子軌道計算による錯体触媒反応機構の解明
古賀 伸明
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1996 年 17 巻 4 号 p. 182-187

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抄録

近年,計算アルゴリズムや計算機の発展によって,非経験的分子軌道法を用いた均一系錯体触媒反応の反応機構の理論的解明がなされるようになってきた。触媒サイクルは,素反応を組み合わせることに構成されると考えられている。理論的手法を用いれば,このような触媒サイクルの反応中間体のみならず,各素反応の遷移状態の構造も定めることができる。したがって,各素反応の反応熱や活性化エネルギーを知ることができ,どのステップが律速段階であるのか,そしてそこでは選択性がどのようにして定まっているのかなどについて考察することができる。本稿では,アルケンのヒドロホルミル化やビスシリル化,およびアルキンのシリルスタンニル化に関する最近のそういった触媒サイクルの理論的研究をとりあげ解説する。

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