1996 年 17 巻 4 号 p. 208-213
グラファイト薄膜とグラファイトが円筒となったカーボンナノチューブの作製法は似ていることが予想されたので, その作製法について比較した。気相化学蒸着 (CVD) 法によりグラファイト薄膜を1000℃以下で作製することを試みた結果, Ni板または厚さ100nm以上のNi薄膜を基板として用いるとグラファイト薄膜が600℃以上で得られることがわかった。カーボンナノチューブは厚さ5nmのNi薄膜を石英ガラス基板上に蒸着したものを基板として用いて, 700℃でCVDを行うと得られることがわかった。カーボンナノチューブが得られる温度とNiの厚みが狭い範囲に限られていることからカーボンナノチューブの核形成について考察をすることができた。