表面科学
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吸着有機分子による触媒機能の制御
射水 雄三
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1996 年 17 巻 5 号 p. 249-253

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抄録

固体触媒の活性・選択性を向上させる目的で,しばしば無機物質が添加され,構造・結合修飾剤あるいは選択毒物として触媒表面の反応サイトのアンサンブル構造や電子状態が制御されるが,有機分子を修飾剤とした例は少ない。有機分子はその機能の多様性と調製の容易さから,固体表面の機能化には優れた修飾分子であり,無機物質では得られない柔軟な活性構造の構築と新規な触媒機能発現が期待できる。本稿では,オレフィンメタセシス触媒への金属アルキル化合物からのカルベン中間体の供給,Pt表面上でのPt錯体からのアルキル中間体の合成,担時Rh触媒上での有機Snの修飾効果,ZnO触媒の1,3-ジエン類水素化に対する表面アルキル基の修飾効果など,金属アルキル化合物を吸着分子として,反応中間体の効率的合成や触媒機能の向上および制御を試みた研究例について紹介する。

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© 社団法人 日本表面科学会
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