表面科学
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新しい界面制御技術による化合物半導体の表面パッシベーションとその量子構造への応用
長谷川 英機児玉 聡橋詰 保
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1996 年 17 巻 9 号 p. 529-538

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抄録

化合物半導体デバイス技術においては,その優れた電子輸送特性や光学的特性をさらに生かすため,実用デバイスのスケールダウンや,ナノスケールの薄膜多層構造や微細量子構造を用いた,量子力学的デバイスが開発されつつある。このように,微細化,薄膜化を押し進めると,相対的に表面・界面の占める割合が増大し,従来以上に表面・界面の理解とその工学的制御が重要となる。本稿では,化合物半導体表面のパッシベーション技術に関して,その重要性や界面制御の必要性やその新しい試みを述べる。ことに界面制御法の1つとして,筆者らが開発した「シリコン超薄膜界面制御層」を利用する新しいアプローチと,その量子構造への応用例を紹介する。まず,界面準位がデバイスに与える影響や界面準位の発生機構に関するモデルを説明する。次に,界面制御に基づく化合物半導体表面パッシベーションの最近の試みを概観する。最後に,筆者らが開発したシリコン界面制御層を利用した新しい界面制御技術について,その原理や具体的手法,界面の構造と電子物性について述べ,これを,表面近傍のGaAs量子井戸およびInGaAs量子細線に適用した例を議論している。

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© 社団法人 日本表面科学会
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