表面科学
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オージェ電子分光装置の開発の現状と将来展望
関根 哲
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1996 年 17 巻 10 号 p. 583-591

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抄録

AESは広く利用されている代表的な表面分析法である。AESの普及には市販の装置技術の発展も重要な役割を果たした。最近の主な進展は,高輝度のフィールドエミッション(FE)電子銃の導入により空間分解能が高められたこと,および電子分光器の高エネルギー分解能化によって状態分析への道が開けたことの二点であろう。これにより極微小領域の状態分析も可能となった。その他の面でも多くの進展があった。例えば,ソフトウエアによるデータ処理は飛躍的に発展し,多変量解析や波形分離などの手法を用いた状態分析などがルーチンワーク化しつつある。それでも現状は装置の性能レベルより材料評価で要求するレベルの方が上にあり,装置の性能がまだまだ足りない状況である。空間分解能をさらに向上させるためのSTEM/CHA技術,検出限界の改善や波形の分離抽出を目指したコインシデンス分光法など極限分析を目指した装置研究もなされている。装置技術の面からAESの現状と将来を論じた。

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© 社団法人 日本表面科学会
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