表面科学
Online ISSN : 1881-4743
Print ISSN : 0388-5321
ISSN-L : 0388-5321
TXRFの現状と将来展望
河合 健一
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 17 巻 10 号 p. 592-598

詳細
抄録

TXRF(Total-reflection X-Ray Fluorescence:全反射蛍光X線分析)法は表面の厳しい平担度と表面清浄度が要求される半導体用シリコンウェーハのキャラクタリゼーションに応用されることにより急速な発展がなされてきた。すなわちTXRFにより1012atoms/cm2台の微量重金属汚染が半導体デバイスの歩留まりに関係することが判明し,これまで原因不明のまま試行錯誤してきたシリコンウェーハの重金属のウェーハ表面への吸着と脱離の洗浄メカニズムが明らかになりウェーハの品質向上が急速に行われた。これは超純水や洗浄薬液の純度も定量可能となることにより急激に向上したことによる。しかしながら検出限界近くでは検出器のベリリウム窓の鉄やニッケルが不純物として検出されることなどから不信感を持つむきもあり,また得られる数値が各機関でばらつきが多いことも問題となった。このため標準化が世界各地で行われるようになり,微量元素の標準試料の重要性について認識されるようになった。TXRFは専ら応用を主体として進歩してきたが,これに理論的な展開と他の表面キャラクタリゼーション手法とを組み合わされることによりシリコン表面の現象が解明され半導体技術の一層の発展が期待される。

著者関連情報
© 社団法人 日本表面科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top