表面科学
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サファイア基板上での強誘電体エピタキシャル薄膜
表面弾性波素子への応用
藤村 紀文伊藤 太一郎
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1996 年 17 巻 11 号 p. 671-675

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抄録

LiNbO3(以下LNと称す)結晶は,空間群R3c,三方晶系に属し,イルメナイト型に似たLN型と呼ばれる結晶構造を有している。その空間対称性のために強誘電性,圧電性,焦電性などの特性を有する。近年は,その高い電気光学効果を利用した光導波路素子,二次電気感受率を利用した非線形光学素子,圧電性を利用した表面弾性波素子などへの応用研究が盛んに行われている。これらの非常に優れた特性を薄膜デバイスとして利用するために,1970年代前半に様々な方法で薄膜化が検討され,ヘテロエピタキシャル膜も報告されている。ここ数年,強誘電体メモリーブームも相まって良質のヘテロエピタキシャル膜の報告が相次いでいる。また,凍結した強誘電体といわれているLNが薄膜化することによって室温で分極反転する,アモルファス薄膜がPEヒステリシスを示す等の興味深い現象も見いだされている。本解説では,LN薄膜の様々な応用の中でも特にエピタキシャル膜として重要な表面弾性波応用に的を絞り,そのエピタキシャル方位を制御した結果得られた表面弾性波特性の向上について報告する。また,成長方位制御と面内エピタキシャル方位関係との関係を界面でのクーロンポテンシャル計算を用いて説明する。

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