Laboratory XAFS装置も改良が進み, 通常のXAFS測定ではSRと比肩できるデータが出てきている。Laboratory XAFS装置はフォトン数や分解能あるいは不純線の存在等の固有の問題点を抱えていた。フォトン数については, X線源として回転対陰極の採用や集中光学系の採用により, 当初より3桁も改善された。分解能については, EXAFS測定はSi, Geなどの完全結晶の使用,XANES測定には高次線の使用により実用レベルに達した。不純線については, カソードに従来のWフィラメントからLaB6に変更することにより, ほぼ解決された。また, 蛍光XAFS手法の確立で, 基板付き薄膜や希薄な系あるいは溶液試料が容易に測定できるようになった。軽元素分析についても, パスを真空にすることによりAl以上の元素の分析が可能になった。In-situセルや低温セルの採用により, 試料環境を自由に設定できるようにもなった。また, ICSDやCRYSTMETのようなデータベースの採用により, 標準試料無しでの解析も可能となってきた。Laboratory XAFSの応用例として, 非晶質シリコン, Fe薄膜, Cuスパッタ膜, 強磁性体 (Sm2Fe17N2), a-Si3N4, 超電導材料, キャパシタ絶縁膜 (Ta2O5), およびリチウム2次電池材料を取り上げた。