表面科学
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半導体表面の軟X線定在波解析
杉山 宗弘
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1997 年 18 巻 1 号 p. 37-43

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抄録

完全性が高い単結晶に単色平行なX線がブラッグ角近傍の角度で入射しているときに,入射波と回折波の干渉効果によってX線の定在波が結晶内外に形成される。X線定在波法は,このX線定在波によって励起された注目原子の二次放射線の強度プロファイルを解析して基板結晶表面に吸着した異種原子の位置を解析する手法である。本稿では,特に軟X線を入射線として用いる軟X線定在波法の特徴を解説し,半導体表面構造解析への適用例を示した。軟X線定在波法は,第三周期以下の軽元素の吸着構造を調べるのに適しているばかりではなく,測定が比較的容易であること,真空中における吸着構造解析に適用しやすいことなどの利点がある。半導体表面構造解析への適用例として,過硫化アンモニウム処理GaAs(001),(111)A,(111)B表面における硫黄原子吸着サイトの決定,GaAs(001)-(2×4)清浄表面に対するSi原子の吸着挙動の解析,Sb吸着GaAs(001)-(2×4)表面におけるSbダイマー構造の解析を紹介した。最後に,分光法による状態分析と回折法による構造解析を融合させた吸収端X線定在波法,および,光電子分光X線定在波法の試行例を示し,軟X線定在波法がもつ新たな可能性についても言及した。

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© 社団法人 日本表面科学会
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