廃棄物学会論文誌
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論文
スラグの強度と鉛溶出から評価したスラグ化に適した灰組成範囲と鉛溶出機構の解明
姫野 修司渡部 真紀子櫛田 浩司小松 俊哉藤田 昌一
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2005 年 16 巻 5 号 p. 360-368

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抄録

都市ごみ焼却灰溶融スラグの有効利用の促進を図るため, 灰組成の違いによるスラグ強度とPb溶出特性の把握を行い, スラグ化に適した灰組成範囲の明確化とpb溶出機構の解明を行った。
溶融スラグは, 灰組成を試薬により調整したモデル焼却灰を用い, 1, 400℃で2時間溶融して冷却速度4℃/minの徐冷方法で作成した。スラグを骨材として再利用する際の骨材試験としてすりへり試験を行った結果, 塩基度 (CaO/SiO2) 1.25~1.75の範囲においてGehleniteの結晶が析出し, すりへり減量値が低く, スラグ強度が高くなった。また, 酸性 (pH4) 下の溶出試験では, 塩基度1.0~1.25の範囲にある共晶組成においてPbの溶出率が他の灰組成の2~3倍程度高くなった。さらに, 環告46号法を行った結果, 塩基度1.0~2.0の範囲にある多くの組成において溶出基準を満たすことがわかった。したがって, スラグ化に適した灰組成はスラグの材料強度とPb溶出試験の結果から塩基度1.5~1.75の範囲であると考えられた。さらに, Pbの溶出量は, 同一灰組成ならば, pHを一定とした条件下ではスラグ中のPb含有量に比例することを明らかとした。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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