海の研究
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伊勢湾底層への間欠的な外海水の進入とそれに伴う湧昇
筧 茂穂藤原 建紀杉山 陽一
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2004 年 13 巻 6 号 p. 537-551

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抄録

間欠的な外海水進入を伊勢湾におけるCTD・ADCP・係留観測によって研究した。外海水は15cm s-1にも達する速度で海底に沿って進入し,湾内底層を低温,高塩化させた。外海水の進入は約2日間にわたって続き,もともと湾内下層にあった水塊を中居に押し上げた。残差流によるボリュームフラツクスから,湾内での湧昇速度を見積もると,底層での湧昇速度は5.9m d-1に達し,エスチュアリー循環流による湧昇速度の10倍以上となった。このような外海水進入は,ほぼ毎年発生している可能性が示唆された。外海水進入に伴う湧昇は,夏季の湾内庭層にある高濃度の栄養塩を有光層にすみやかに輸送し,高濃度の亜表層クロロフィル極大の形成に寄与している。

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