日本東洋医学雑誌
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“硬結”の研究 (I)
指頭感覚の客観化
本郷 孝博
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1987 年 37 巻 3 号 p. 185-192

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抄録

東洋医学でいう“硬結”は, 鍼灸刺激を行うポイントとして, 経穴 (ツボ) と同様もしくはそれ以上に重要視されている。しかしながら,“硬結”と“非硬結”の弁別は, 一般には, 術者の指頭感覚に基く触診により行っている。
本研究では, 触診により弁別された“硬結”と“非硬結”の硬さを数量化することにより, 指頭感覚による“硬結”の硬さの弁別能に, 妥当性があるか否かを検索した。硬さの測定は, 精度の高い Push-Pull-Gauge (荷重圧測定器, ±2/1000 degree) を用いて行った。その結果, 指頭感覚により触知し得た“硬結”の硬さは,“非硬結”の部位の硬さに比べ, 測定器を皮膚表面からおし下げた距離が等しい部位では一般にやや硬く, その距離が, 2~5mmの部位と8~10mmの部位では, さらに有意に硬いことが確認された。
これらのことから, 鍼灸の臨床で行っている指頭感覚による“硬結”の硬さの弁別能には, かなりの妥当性のあることが推察された。

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