2002 年 53 巻 1-2 号 p. 47-54
柴胡剤や柴胡を含まない方剤の投与により, 胸脇苦満がいかに変化するかを検討した。
44例 (男性7例, 女性37例, 平均年齢42.8±16.4歳) を対象として, 6ヵ月間の漢方薬による治療を行い, 胸脇苦満の程度と有無の評価, 血液生化学検査, Zung の Self Depression Scale (SDS), the Subjective Well-being Inventory (SUBI) の変化を調査した。
6ヵ月間にわたり“柴胡”を含む方剤のみを投与されていた20例 (S群) では胸脇苦満の程度が左右ともに有意に軽減していたのに対し, 柴胡を含まない方剤のみを投与されていた16例 (C群) では左右ともに胸脇苦満の程度に有意な変化を認めなかった。S, C両群の比較においても, 左右ともに両群間に有意差を認めた。また, 左側の胸脇苦満の程度の軽減と, 血中総蛋白値の上昇との間の関連が示唆された。