肝臓
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Rotor病11家系15例の検討-特にその病態についての考察-
浪久 利彦南部 勝司吉田 和朗山城 雄二小林 教雄古波倉 正照山内 義正
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1978 年 19 巻 9 号 p. 909-916

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抄録

Rotor型過ビリルビン血症の11家系15例について報告した.この中の10家系13例は沖縄県那覇市近郊の比較的限られた地域にみられたものである.11家系中4家系では家族内発生が確認され,5家系では発端者以外にも複数の黄疸患者の存在が明らかにされて,遺伝形式は常染色体性不完全優性と推定された.血清総ビリルビン値は5.6±2.6mg/dl(直接型3.5±1.3mg/dl)(mean±SD)で2例を除いて直接型が優位を占めた.色素負荷試験は,KICG:0.022±0.009,R15ICG:63.9±13.6%, KBSP:0.028±0.006, R30BSP:62.0±23.9%, R45BSP:40.8±6.1%といずれも高度の異常を示した.経口胆のう造影は,施行しえた14例全例で造影され,組織学的には,光顕では著変が認められなかった.本症の病態はきわめて特異的であって他に類をみず,家族内発生な証明しえないものでも,典型例はRotor病とすべきであると考える.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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