肝臓
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肝疾患にみられた寒冷刺激への血管反応低下と末梢神経機能の関係
相沢 義房須永 隆夫柴田 昭湯浅 保子赤城 靖隆酒井 一也平沢 由平佐々木 博
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1979 年 20 巻 4 号 p. 335-338

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抄録

寒冷刺激に対する血管反応と末梢神経伝導速度の測定を用いて,肝疾患における神経血管機能の検討を行った.全例腹腔鏡および肝生検による診断がなされている.肝硬変群(N=5)と慢性肝炎(活動型) (N=6)では正常に比し著しい血管反応低下をみとめた.肝硬変の1例に軽度の腹水をみとめる以外全て代償期にあり日常生活に復しており,知覚異常の訴えはなかった.一方回復期における急性ウイルス性肝炎の1例以外は正常反応を示した.この血管反応と末梢神経伝導速度は有意の相関を示し(r=0.88, p<0.01),寒冷に対する反射性血管収縮径路における主病変が末梢神経であることが示唆された.これらsubclinical neuropathyの機序の検索に加え自律神経及び血管平滑筋機能の検索が必要と思われる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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