肝臓
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ヒト肝細胞アクチンおよび53K蛋白質の抽出精製とその生化学的特性
小松 郁俊岡本 洋黒田 博之
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1985 年 26 巻 12 号 p. 1604-1611

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抄録

5例の剖検肝から肝細胞を分離してアクチンを精製し,その特性を検討した.切除した肝は血液成分を除去し,物理的に破砕して遊離肝細胞を作成し,冷アセトンで処理した肝細胞乾燥粉末から粗アクチン分画を抽出した.これにウサギ骨格筋ミオシンを加えて超遠心分離し,高イオン強度下でMg-ATPを加えて再度超遠心分離を行い,沈澱物中に42Kダルトンの肝細胞アクチンと53Kダルトンの蛋白質を得た.また粗アクチン分画のDNase-I affinity chromatographyによってもこの両蛋白質を単離することができた.精製アクチンはアクチンに特有のアミノ酸組成を示し,ネガティブ染色法による電顕的観察により直径約6nmの線維状構造が認められた.ヒト肝細胞アクチンのisoformはβとγで,2:1の量比であった.アクチンと共に精製された53Kダルトン蛋白質はデスミンではなく,新しいアクチン結合蛋白質と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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