肝臓
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数量化理論による肝癌高危険群の設定
荒牧 琢己赤池 正博長沢 紘一寺田 秀人関山 達也勝田 悌実里村 克章奥村 英正羽入田 陽一郎林 知己夫林 文
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1985 年 26 巻 4 号 p. 466-471

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抄録

肝硬変診断時より1年以上経過観察後に肝癌が合併したとみなされる肝癌群20例と,3年以上その合併をみない肝硬変群41例の2群について,背景因子,臨床症状,検査成績などの一般的情報を用い,数量化理論により肝癌高危険群の設定を試みた.肝癌診断までの期間は最短18カ月,平均42.0±20.3月であった.上記情報22項目の中から,両群の判別に有効と思われた16項目を選び,それぞれをいくつかのカテゴリーに分け,各カテゴリーに与えられる数量を求め,その総和,即ち判別得点が正のものを肝硬変,負のものを肝癌とした.その結果,前者は41例中36例(87.8%),後者は20例中19例(95.0%),両者を併わせ90.2%が正しく判別された.
さらに,各項目の疾患判別に寄与する程度を相関比を用いて検討したところ,性,LDH,GOT/GPT,飲酒歴,輸血歴が他より大きい値を示した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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