肝臓
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3回の摘出術と肝動脈塞栓療法により10年8カ月生存している肝細胞癌の1例
古河 隆二大津留 晶松尾 彰後藤 誠原田 良策田島 平一郎中田 恵輔河野 健次室 豊吉佐藤 彬川原 健次郎楠本 征夫棟久 龍夫長瀧 重信石井 伸子小路 敏彦土屋 凉一
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キーワード: 肝細胞癌, 長期生存, 肝切除
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1985 年 26 巻 6 号 p. 753-758

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抄録

3回の摘出術と2回の肝動脈塞栓術(TAE)により10年8カ月生存している肝細胞癌の1例を報告した.症例は62歳の女性,1971年肝生検で肝硬変と診断.1973年10月血中AFP上昇のため当科入院.HBs抗原,HBe抗原ともに陽性.血管造影で腫瘍膿染像をみとめ,摘出術施行,右葉後上区域の3.5cm大の肝癌を摘出した.非癌部は乙型肝硬変であった.6年10カ月後に肝癌の再発がみられ,やはり右葉後上区域にて2.0cm大の肝癌を摘出.さらに10カ月後に肝癌が出現,右葉後下区域より1.0cm大の肝癌を摘出した.組織学的には,3回ともtrabeculartypeであった.さらに1年8カ月後肝癌が出現,TAEを2回施行し外来通院中である.本例の肝癌発生様式は,多中心性と思われるが,血中AFPの厳重なfollowにより3回もの肝癌摘出術に成功し,10年以上の生存をみているため報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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