1986 年 27 巻 12 号 p. 1670-1677
肝障害診断時の一般的な臨床所見から薬剤性肝障害と輸血後非A非B型肝炎との鑑別予測を判別分析と数量化理論II類を用いて行なった.判別分析では変数増減法により選択されたGOT, T-ch,年齢,好酸球,TTT, ALPの6項目を用いて判別式を作成した結果,薬剤性肝障害群は35例中31例(88.6%),輸血後非A非B型肝炎群は37例中33例(89.2%)が正しく判別された.数量化理論II類では質的データと量的データの16項目を用いて判別式を作成した結果,薬剤性肝障害群は34例中31例(91.2%),輸血後非A非B型肝炎群は35例中34例(97.8%)が正しく判別され,疾患判別に寄与する項目を偏相関係数により検討すると,GOT,好酸球,黄疸,γ-globulin, T-ch,発熱の順に高値を示した.本判別式作成以降の13症例を用いて外部検定を行なうと,正診率は判別分析で84.6%,数量化理論II類で92.8%といずれの解析方法においても内部検定とほぼ同様の判別率を得た.