肝臓
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肝未分化癌の1例
岡井 高加登 康洋村上 哲夫鵜浦 雅志田中 延善澤武 紀雄小林 健一服部 信角谷 真澄泉 良平松原 藤継中沼 安二太田 五六
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1987 年 28 巻 11 号 p. 1521-1526

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抄録

肝未分化癌の1例を報告した.本例は,画像診断上嚢胞性変化を伴うhypovascular瘍として描出されたが,術前の質的診断は困難で,切除標本の病理学的検索にて診断が確定した.臨床的には,自覚症状を欠き,血清CEA値の軽度上昇を認めたが,AFPは陰性で,肝機能検査にも異常は認められなかった.肝左葉外側区域切除術にて完治し,4年後の現在,再発の徴候なく元気に生活している.切除標本では,腫瘍の境界は明瞭で,病理学的に,凝血塊を満たす拡張した血管腔と充実性の腫瘍塊より成り,被膜形成はなく,一部周囲肝実質へ浸潤していた.組織学的には,小型円形の未分化な腫瘍細胞が充実性に発育し,毛細血管から成る間質を認めた.腫瘍細胞の胞体は好酸性で,核は中等度のクロマチンを認め,円形乃至不整円形であった.核小体は小さく,mitosisはわずかに認められるのみであった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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