1987 年 28 巻 5 号 p. 537-543
2年間以上e抗原・抗体両者陰性期が持続した17例のB型慢性肝炎につき検討した.17例の初回の組織学的診断は,Liver Cirrhosis 6例(35%), Chronic Aggressive Hepatitis (2B) 8例(47%), Chronic Aggressive Hepatitis(2A)3例(18%)で, Chronic Aggressive Hepatitis(2B), LCに進行していた例が全体の82%と多かった.17例を経過観察中にR-PHA法で測定したHBs抗原の力価が22以下に低下する8例(A群)と,HBs抗原の力価が動揺する9例(B群)とに分けると,血清GPTはA群8例では金例100K.U未満で安定していたが,B群9例中4例(44%)に100K.U以上の上昇がみられた.以上より,e-window長期持続例は,組織学的には進行した症例が多いが,これらの中にはB型肝炎ウイルス(HBV)が排除され,肝炎が鎮静化してゆく群と,HBVの増殖が持続し,肝炎の増悪をきたす群との,異なった2群が存在することが推定された.