肝臓
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急性肝炎様の臨床病理像で発症した自己免疫性肝炎の2症例
森本 日出雄若林 時夫鈴木 邦彦杉岡 五郎
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1991 年 32 巻 12 号 p. 1148-1155

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抄録

発症時,急性肝炎様の組織像を呈した自己免疫性肝炎の2症例を経験した.症例1.60歳,女性.黄疸を主訴に来院した.γ-glob. 2.1g/dl, GOT 526IU/L, T.Bil 4.2mg/dl,抗核抗体2,560倍であったが,肝生検では急性肝炎様の組織像を呈した.glycyrrhizin製剤にて改善したが再燃したため,副腎皮質ホルモンを投与し著効を認めた.維持療法中に再び再燃したが副腎皮質ホルモンにて寛解した.1年後の肝生検では慢性活動性肝炎の像であった.症例2.48歳,女性.黄疸を主訴に来院した.γ-glob. 1.3g/dl, GOT 1,350IU/L, T. Bil 15.0mg/dlであった.肝生検では急性肝炎の像であった.黄疸が遷延したため副腎皮質ホルモンを投与し,著効を得た.その後,再燃を繰り返すうちに高γ-glob.血症・自己抗体の出現を認め,肝生検では慢性活動性肝炎の像を示した.この2例は異なった臨床経過を示しており,自己免疫性肝炎の発症機序を考えるうえで興味ある症例と考え報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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