肝臓
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初期高分化型肝癌の血管構築:血流イメージングによるinvivo解析
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1992 年 33 巻 4 号 p. 283-291

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抄録

切除された腫瘍径3cm以下の肝細胞癌66結節のうち病理組織学的に,(1) 結節全体が均一に高分化型肝癌で占められていたもの14結節,および,(2) 高分化型肝癌を内包する腺腫様過形成と診断された3結節,の計17結節を対象に,in vivoにおける血流イメージングの所見を解析し,初期の高分化型肝癌(e-HCC)における血管構築の特徴像について検討した.CO2動注US angiographyにより評価した動脈血流成分は,hypervascular 5結節,isovascular 5結節,hypovascular 4結節,vascular spot in hypovascular 3結節であり同時期に切除された3cm以下の古典的な肝癌(ad-HCC)49結節に比し,動脈性vascularityが低い傾向にあった.また門脈造影下CTにて評価した門脈血流は,ad-HCCの全例がperfusion defectを呈するのに対し,e-HCC14例のうち5例がperfusion defectを呈しなかった.perfusion defectを呈した群9例と呈しなかった群5例の結節の腫瘍径には有意差を認めなかった.また,e-HCCには脂肪化の程度の強いものが多く,これらe-HCCの特徴的な血管構築(乏血状態)との関連性が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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