肝臓
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Niemann-Pick細胞類似細胞の増殖により肝の線維化をきたした進行性全身性硬化症の1剖検例
浦野 透松宮 禎介福西 恵一小田 幸作荒木 雅人安積 正作芝山 雄老賀陽 亮太郎
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1995 年 36 巻 2 号 p. 107-110

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抄録

Niemann-Pick細胞類似細胞の増殖により肝の線維化をきたしたと考えられる進行性全身性硬化症の剖検例を報告した.脾臓は胞体内に多量のミエリン様構造物を有するNiemann-Pick細胞に類似した泡沫状マクロファージの高度の増殖によって腫大していた.肝臓ではNiemann-Pick細胞類似細胞は泡沫状に腫大したKupffer細胞として認められ,小葉周辺帯にはこの細胞による類洞の狭窄とそれによる循環障害の結果と考えられる肝細胞の萎縮,消失,線維化がみられた.本例には食道静脈瘤が認められたが,その原因はNiemann-Pick細胞類似細胞による類洞狭窄と小葉周辺帯の線維化による血流障害および脾腫に伴う脾血流量増加が複合して生じた門脈圧亢進であると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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