1995 年 36 巻 5 号 p. 283-288
ウルソデオキシコール酸(UDCA)投与中の胆石症(GS):6名,慢性肝炎(CH):22名,代償期肝硬変症(LC):21名の血中イソウルソデオキシコール酸(isoUDCA)を測定しその臨床的意義を検討した.血中総胆汁酸濃度(mean mol/l)は,GS群23.93, CH群37.24,LC群78.73であり,胆汁酸分画(%)は各群ともUDCAが主要胆汁酸であったが,isoUDCAはおのおの19.17%, 6.68%, 1.58%を占めていた.また各群の血中isoUDCA/(isoUDCA+UDCA)率(mean%)は,28.30, 9.74,および2.55で,肝病変の進行とともに低下するのを認めた.さらに,血中isoUDCA/(isoUDCA+UDCA)率は直接ビリルビン,アルブミン,ヘパプラスチンテスト,ICG 15分停滞率との間に有意な相関関係が存在するのを認めた.これらの成績から,isoUDCAの生成は肝機能と密接に関連し,肝障害の進行に伴い低下することを示唆している.