肝臓
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限局性広範壊死を起こした急性リンパ性白血病の一剖検例
安積 正作賀陽 亮太郎松宮 禎介福西 恵一小田 幸作荒木 雅人浦野 透芝山 雄老
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1995 年 36 巻 10 号 p. 615-620

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抄録

肝右葉に一見梗塞にみえる楔状の限局性広範壊死を起こした急性リンパ性白血病症例(50歳,男)を経験した.肝内門脈枝および肝動脈枝には血栓等の閉塞性病変は見出せなかった.この壊死はグリソン鞘周囲の少数の肝細胞を除く小葉内のほとんどすべての肝細胞の壊死(広範壊死)であった.この壊死部には白血病細胞浸潤によると考えられる肝静脈枝内皮下の疎な線維増生(肝静脈閉塞症)ならびに類洞内での高度の白血病細胞の増殖が認められた.この壊死巣以外の肝臓にはDICによると考えられる小凝固壊死巣が散在性に認められた.本症例の楔状の限局性広範壊死は白血病細胞浸潤,増殖による限局性肝静脈閉塞および類洞血流障害がDIC(類洞内フィブリン血栓形成)に起因する肝壊死を増強したために生じたものと考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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