肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
成人間生体部分肝移植を施行した原発性胆汁性肝硬変の1例
辻 邦彦渡辺 晴司北沢 俊治佐藤 育子姜 貞憲柳田 健司洞田 克巳前久 保博士田中 明田中 紘一山岡 義生
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 37 巻 5 号 p. 281-285

詳細
抄録

症例は49歳,女性.1984年に皮膚掻痒感で発症し,精査の結果,原発性胆汁性肝硬変(Scheuer II期)と診断し,以後,外来で経過観察.1993年7月頃より黄疸が出現し,当科第1回目の入院となり,腹腔鏡及び肝生検の結果,Scheuer IV期への進展が確認された.以後,黄疸の増強と肝予備能の低下が次第に進行し,1994年6月の時点ではT. Bil 27mg/dl, PT 27%と更に病態は悪化した.そこで唯一の治療法として肝移植を考慮し,本人及び家族も肝移植を強く希望したため肝移植の適応と判断した.移植への待機中,胃静脈瘤破裂が出現したが,内視鏡的硬化療法で止血させ,同年9月,京都大学第2外科へ転院し,同大倫理委員会の承認を得た後,同年11月16日,生体部分肝移植が施行された.その後,当科で加療中であるが,移植後11ヵ月にあたる1995年10月現在,肝機能検査正常,全身状態良好で元気に外来通院中である.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top