肝臓
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ウルソデオキシコール酸投与患者における尿中イソウルソデオキシコール酸, ウルソコール酸の測定とその臨床的意義
中村 公英高本 秀二郎中出 幸臣横浜 吏郎麻生 和信佐藤 洋一青島 優米田 政志牧野 勲
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1998 年 39 巻 8 号 p. 526-532

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抄録

ウルソデオキシコール酸 (UDCA) 600mg/日内服中の肝機能正常胆石症 (GS: 8例), 慢性肝炎 (CH: 20例), 代償期肝硬変症 (LC: 13例) 患者の空腹時尿中胆汁酸分析をガスクロマトグラフィー法で行い, UDCAとその代謝物であるイソウルソデオキシコール酸 (isoUDCA), ウルソコール酸 (UCA) を測定し, その臨床的意義を検討した. GS, CH, LC群における尿中総胆汁酸濃度は, それぞれ22.48±3.8, 60.94±11.7, 104.32±28.7 (mean±SE, μmole/l) であり, GS群に比べLC群で有意に高値であった. 総胆汁酸に占めるUDCA, isoUDCA, UCAの比率はGS群: 46.3±6.8, 20.9±5.8, 7.2±3.5%, CH群: 64.3±2.6, 10.3±1.7, 4.0±0.9%, LC群: 73.3±2.7, 5.1±1.0, 1.9±0.5%とUDCA率はGS群で他の2群に比し有意に低値であり, 逆にisoUDCA, UCA率はGS群で有意に高値であった. さらに, 総7β水酸化胆汁酸に占めるUDCAの比率はGS群64.8±9.1%, CH群81.6±2.3%, LC群92.2±1.3%と肝病変の進展とともに低下し, 血清ALBと有意な負の相関関係を認めた.
UDCA投与患者の尿中胆汁酸分析において, UDCAとその代謝物の測定は肝機能及び腸肝循環機能の把握に有用であることが示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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