肝臓
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超音波下針生検で診断しえた肝原発myelolipomaの1例
荒木 康之野村 正博白神 邦浩石井 泰史井上 純一田原 一優河村 譲
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キーワード: 肝腫瘍, 針生検, 超音波
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1998 年 39 巻 10 号 p. 746-749

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抄録

症例は64歳, 男性. 肝障害で近医通院中に腹部超音波, CTで肝腫瘍を指摘され, 精査目的で紹介された. 血小板減少と肝機能異常は認めるが, HBs抗原, HCV抗体ともに陰性で, AFP, PIVKA-IIも異常なかった. 超音波でS6に12×10mmの高エコー腫瘤を認め, CTでは単純で12mmの低吸収域, 内部にさらに低吸収な領域を認め, ダイナミックでも濃染されなかった. MRIではT1, T2強調画像で高信号, 脂肪抑制T1強調画像で低信号となった. 確定診断のため, 21G細径針による超音波下針生検を行い, 骨髄巨核球, 赤芽球, 骨髄芽球の3系統の骨髄造血細胞と散在する脂肪細胞を認め, myelolipoma と診断した. 肝原発 myelolipoma は現在まで本症例を含め13例しか報告されていない. そのうち, 11例までが手術や剖検で診断されている. 本症例は12mmと小さな腫瘍で針生検で確定診断しえたことは診断法として針生検の有用性を示すものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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