肝臓
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抗結核薬による劇症肝炎の1例
飯島 章博吉澤 要稲田 浩之一條 哲也小林 正和今井 明彦田中 栄司袖山 健清澤 研道
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キーワード: 抗結核薬, 劇症肝炎
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1998 年 39 巻 2 号 p. 97-101

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抄録

症例は72歳, 男性. 検診で胸部レントゲン異常陰影を指摘され, 肺結核の診断を受け, isoniazid (INH) およびrifampicin (RFP) の内服を開始した. 投与開始4週後より食欲低下, 7週後より全身倦怠感を認め, 8週後に黄疸が出現したため某病院に入院となった. 入院第4病日より意識障害も出現してきたため, 当科転院となった. 劇症肝炎と診断し血漿交換等を行うも, 入院第6病日に死亡した.
薬剤投与の経過および各種ウイルスマーカー陰性より, 抗結核薬による劇症肝炎が強く疑われ, 原因薬についてはINHとRFPが考えられた. 薬剤性の劇症肝炎のうち, 抗結核薬によるものは約10%とされていたが, 結核の減少により劇症肝炎の報告は減少している. しかし, 近年再び結核の増加もみられ, 本例のごとく抗結核薬については, 注意深い観察と定期的な肝機能検査が必要と考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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