肝臓
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AT-III産生肝細胞癌の1切除例
小橋 研太松田 忠和高倉 範尚古口 契児森 隆
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1999 年 40 巻 8 号 p. 471-475

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抄録

AT-III抗原量, 活性値とも高値を示した原発性肝細胞癌を経験したので報告した. 症例は76歳男性, 主訴は右季肋部痛, 現症では体表部に出血傾向を認めなかった. 血液検査でAT-III抗原量が73.3mg/dl, 活性値が170%と異常高値であった. 腹部US, CTにて肝右葉に巨大な腫瘤を認め, angiographyではtumor stainを認めたため肝細胞癌と診断しTAE施行した. 約3週間後, 肝右葉切除術及びcannulation施行した. 組織学的には中分化型肝細胞癌であった. 免疫組織化学染色で腫瘍細胞は抗AT-III抗体に陽性を示し, AT-III値はTAE, 手術により正常値以下に低下したことより腫瘍細胞のAT-III産生が証明された. 現在, 術後17カ月でAT-III値は正常値以下のまま再発の兆候を認めていない.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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