高分子化學
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延伸過程における6-ナイロン分子鎖の機械的切断
第2報分子量および分子量分布の変化と切断機構の検討
加藤 克彦古川 薫吉崎 修
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1971 年 28 巻 316 号 p. 693-700,710

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抄録

通常の溶融紡糸法で得られた6-ナイロン繊維を延伸する過程で応力により分子鎖が切断する機構を検討した。この日的を達するため, 主として, 1) 分子量の異なる未延伸糸の延伸による粘度低下, 2) 延伸前後の試料の分子量分布を調べた。これらの結果から分子鎖の切断はランダムに起こったのではなく, 高分子量の分子鎖ほど小さな応力で切断し, 一淀の応力で切断する分子鎖の下限長さが試料の平均分子量にはよらず一定になり, そして切断は主として分子鎖の中央付近で起こると結論された。このような分子鎖切断機構であるならば, 6-ナイロンの未延伸糸や延伸糸は分子鎖が全体として繊維軸方向に伸びて配向しているふさ状ミセル型の繊維構造をもっていると考えるのが妥当である。そして個々の分子鎖は, その一部が結晶領域にあっても, すべり動きながら引き伸ばされて配向度を向上させるが, その結果分子間力に基づく応力が増大しひきちぎられると推察される。

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