1989 年 46 巻 4 号 p. 253-259
ラジカル重合で生成するポリマーの末端基構造を設計するために, N, N'-ジエチル及びN, N'-ジメチルジチオカルバメート (1b及び1c), ベンジルN-エチルジチオカルバメート (2b) ならびにp-キシリレンビス (N-エチルジチオカルバメート) (3b) をiniferterとしてスチレン (St) 及びメタクリル酸メチル (MMA) の光重合を30℃で行った. その結果, 重合はいずれも均一系リビングラジカル重合機構に従って進行した. すなわち生成ポリマーの分子量は重合時間 (重合率) とともに増大し, 用いたiniferter中のジチオカルバメート基と同じ数のジチオカルバメート基が末端基として結合したポリマーが生成した. これらポリマーはさらに高分子光iniferterとして機能し, ポリマー鎖延長反応やブロックコポリマーの設計合成に応用できることがわかった.