1992 年 49 巻 5 号 p. 407-412
荷電基密度の違うカルボキシメチルセルロース (CMC-H) と部分アニオン化ポリアクリルアミド (PAAm-H) をポリアニオンとし, ポリカチオンのポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドとの間の高分子電解質複合体 (PEC) 形成反応の熱力学的パラメーターを求めた. 各系とも反応に伴って大きな負の自由エネルギーの獲得があった. 荷電基密度の低いCMC-Hでは発熱反応傾向が強く, エンタルピー主導型のPEC形成反応だった. 荷電基密度の高いCMC-Hでは発熱傾向が小さく, その分大きなエントロピーの獲得がありエントロピー主導型のPEC形成反応であることがわかった. PAAm-H系では, 荷電基密度が約10倍違ってもエンタルピーの値にほとんど差が見られず, 極めて小さな吸熱反応であった. この系では, PEC形成に伴い大きなエントロピーの獲得がみられ, エントロピー主導型のPEC形成反応であることが明らかになった.