日本内科学会雑誌
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RheographによるValsalva試験時の循環動態の検索
特に脳動脈硬化症の脈波及ぼす影響
倉田 誠平井 弘之中園 智規久持 義雄
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1960 年 49 巻 8 号 p. 1050-1056

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抄録

Valsalva試験時の循環動態について検索せんとして, Rheographを用いて身体各部位の脈波を描き,その影響を観察した.その結果,対照群と動脈硬化群とでは,試験前,試験時共に,特に頭部脈波に差異のある事を認めた.即ち,対照群では頭部脈波頂点は下肢脈波頂点に先行し,両頂点間の時間差は大であるが,脳動脈硬化群では,対照群に比し頭部脈波頂点がおくれ,したがつて対照群に較べて頭部,下肢両脈波の頂点間の時間差が少なくなる. Valsalva試験時においては,対照群では頭部,下肢両脈波頂点間の時間差は試験前値と大差ないが,脳動脈硬化群では,試験時特に頭部脈波頂点が時間的に早くなり,心電図Q点に著しく近づくため,下肢脈波頂点に先行するようになる.一般にValsalva試験時の脈波面積は試験前値に較べて小となる.

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