1988 年 77 巻 6 号 p. 869-872
最近2年間に経験した脳卒中合併の原発性アルドステロン症(PA) 3例と特発性アルドステロン症(IHA) 1例を報告した.全例男で年令は26才から64才,高血圧歴は7年から20年,脳梗塞と脳出血がそれぞれ2例であった. PAの1例は多発性脳梗塞のため未だ外科的治療を行なわず,スピロノラクトンで治療した.副腎腺腫を摘出した2例では低K血症は是正されたが,血圧は正常域までは低下せず,少量の降圧薬を必要とした. IHAの1例は19才と25才時に脳出血を発症,既に副腎の3/4が摘出されていたが,なお低K血症を伴う著しい高血圧がある.摘出副腎は球状層のびまん性過形成を示した. PAおよびIHAにおいても高血圧が長期間持続すれば,脳血管障害が発症する.